人が亡くなる前には、心停止や呼吸停止のような最終段階の変化だけではなく、その前から少しずつ現れてくる体のサインがあります。看護師は日々の観察の中で、そうした変化を重ねて見ながら状態を捉えています。
この記事では、死が近づいた時に起こりやすい変化として、飲食量の低下、意識レベルの低下、尿量の減少という3つのポイントを整理しています。あわせて、むくみや呼吸状態、脈の変化、痩せ方など、看護師が実際に見ている体の状態にも触れながら、目安として知っておきたいことをまとめています。
死に直面しやすい看護師だからこそ見えてくること

看護師は職業柄、死に直面しやすいです。3つが当てはまれば、1か月後には……。もちろん、顔を見るだけでもわかるんですけど。
看護師ぐらしです。今日は、看護師が教える「死ぬ前に起こる3つのこと」についてお話ししていきます。
この仕事をしていて、他のお仕事にはない特別なことって、やっぱり亡くなる方をたくさん見てることやと思います。だからこそ看護師をしていると、この症状があると、「あ、もしかしたらもうすぐ亡くなるかもしれないな」っていう予測がつきます。
実体験で、私の親戚がもうすぐ亡くなりそうっていう時も、体の状態をパッと見て、「あ、もうすぐ亡くなるな」っていう予測がつきました。
それって、皆さんも知ってた方がいいこともあるって思いません? 不謹慎な話をしたいわけじゃなくて、皆さんの大切な誰かが、もしかしたらもうすぐ亡くなってしまうかもしれないっていう時に気づいて、何か行動を起こせることにつながればいいなと思っています。
看護師が教える「死ぬ前に起こる3つのこと」、今から話していくんですけれども、この中で言う3つのことは、心停止、呼吸停止、瞳孔散大みたいな、いわゆる死の3徴候ではありません。あれはもう、死んでしまっている状態なので、今回はそこではなく、その前に起こる変化の話です。
体が弱っていく時、まず起こりやすい変化

1つ目 飲食が少なくなる
まず1つ目は、飲食が少なくなることです。
これは病状にもよるんですけれども、もともと口から食事を食べていた人の話です。本人は食べたり飲んだりしたいっていう希望があるけど、噛む力、飲み込む力が弱くなって、ほとんど食べたり飲んだりできてない。もうカサカサの状態になってきます。
よくあるのが、食べられなくなって、「じゃあ、こんなにちっちゃいジュースやけど高カロリーのもの」とか、「こんなにちっちゃいゼリーやけど高カロリーのもの、食べてください」って渡されたりするんですけど、それすらも1日のうちに一口二口、半分食べられたらいい方、みたいな状態になってくる。そうなると、かなり皮膚もカサカサしてきますし、もちろん唇にも出てきます。
そうなった時、医療的には「点滴をしましょう」ってことになるんですけれども、口から食べたり飲んだりできないからといって点滴をしたとしても、水分を処理する力自体が弱くなってるので、体の中にうまく取り込めなくて、今度はむくんでいくんですよね。むくみを取るために利尿剤を使う。で、また点滴を入れる、むくむ、利尿剤、みたいな感じになっていきます。
だいたいそうなると、体がすごくだるいです。むくんでる時って皆さんもあるでしょ。その時って結構体だるくないですか。それが全身の、しかも体の中の全部の臓器が弱ってる状態で起きてるので、相当しんどいんですよね。
さらに、水が体の中に溜まってしまうから、心不全って言って心臓がうまく機能できなくなったり、肺に水が溜まる胸水が起こったりします。すると呼吸がしづらくなってしまうので、酸素をつけることになります。
普段、自分が呼吸してる時って、肺の全部を使えてるんですよ。でも、肺の一部が水に浸ってるみたいな状態になると、使える肺の量が減ってしまう。そうなると、欲しい酸素の量が取り込めないので、普通の空気とは違う濃い酸素を吸って、少ない肺の容量でも必要な酸素をなんとか取り込もうとするわけです。
「じゃあ点滴しなきゃいいやん」って思うかもしれないんですけど、点滴しなかったら枯れていくし、点滴したらむくんで今みたいな話になるし、そこは本当に主治医の先生と相談して、どうしていくかを決めていく形になります。
2つ目 意識レベルが低下する
2つ目は、意識レベルが低下することです。
これも脱水が原因のひとつにはなってきます。なくなっていく過程で、体に必要なものを取り込めなくなるので、やっぱり脱水はどうしても起きますよね。それによって意識が薄くなってきて、うつらうつらしてる状態になる。なんか寝てる時間長くなってきたなー、みたいな感じで、寝たり起きたりを繰り返すようになります。
それ以外にも、ほんまは来てないのに「お孫さんが顔見に来た」と言ったり、「手振ってた」とか、「そこまで来てくれて会えたわ」とか言ったりすることがあります。「あれ、来てないのになんでやろ」っていうことが起きるんですよね。
これは体が弱って、多臓器不全っていう状態になって、脳に大きなダメージがあるから起こると言われています。
看護師が特に見ている「もうひとつの大事なサイン」

3つ目 尿量が減る
では3つ目。ここ、ほんまにポイントです。これも看護師、絶対みんな見るやつです。3つ目は、尿量が減ること。これは本当に起きます。
病棟の中で、「誰か、もしかしたらもう少しで亡くなりそうだな」と予測がつきそうな人を見る時、看護師は絶対おしっこの量を観察します。
なんでかというと、まず1つ目に言ったように、食べる量、飲む量が減ってるので、それだけでもおしっこの量は減りますよね。原料がないから作れないってことです。しかも、心臓の機能が弱ってることに伴って、腎臓の機能も弱くなる。だから、原料もないし、工場ももうボロボロ、みたいな状態なんです。
脈が速くなるのは、体が最後まで頑張っているから
これはちょっと余談というか、プラスアルファの話になるんですけど、脈がめちゃくちゃ速くなります。だいたい1分間に150から160くらい、バーッと速くなる。
不思議じゃないですか。なんか、「それってめっちゃ頑張って生きてるやん」って思いません? ほんまにその通りで、心臓がめちゃくちゃ頑張ってるんですよ。
食べるものが少なくなった、飲むものも少なくなった、取り込もうにも取り込まれへんくなった。おしっこを作ろうにも、そこに流れてくる血液も少ない。心臓の機能も弱ってる、多臓器不全になってる、脱水も貧血も起こってくる。そうすると、人間の体ってすごく不思議で、恒常性、ホメオスタシスっていう、元の状態に戻そうとする働きがあるんですよね。
少しでも栄養とか酸素、水分をどうにか取ろうとする。その時、体の中でできることは何かってなったら、もう脈を速く打って、「どうにか体よ動け、頑張れ」って活動させるしかないんです。
ただ、元気な人がスポーツした時の脈の速さとは違います。スポーツしてる人の心臓って、速いけど強く打てるじゃないですか。でも、亡くなる前の人は、そんなふうに強く打つ力はもうないんですよ。めっちゃ弱い。めっちゃ弱いのに、めちゃくちゃ一生懸命心臓が動いてる。どうにか動いてる。そんな状態です。
じゃあ、その心臓がこのままずっと頑張り続けるのかというと、皆さんもわかると思うんですけど、そんなに長くは続かない。徐々に徐々に脈が落ちてきて、60、50、40みたいな感じになって、最後はゼロ、ピーンっていう状態になる、そんな流れです。
もちろん、心臓だけが先に止まって、次に呼吸が止まって、みたいに工場が順番に止まるわけじゃないんですよ。全部の症状が重なり合って、呼吸状態も悪くなっていくし、全身の機能が少しずつ落ちていく。ただ、体の機能とか、看護師が観察しやすい項目とかでかいつまんで言うと、ここがポイントかなと思います。
目安として知っておきたいこと

以上が、看護師が教える「死ぬ前に起こる3つのこと」です。
今言った症状っていうのは、年齢とか病気とか、いろんな要素が含まれているので個人差はもちろんあります。ただ、だいたい1か月前後では、もうちょっと厳しい状態かなと思います。もちろん、どんな治療をしていくのか、どんな治療でどのくらい効果があったのかによっても多少前後はします。でも、「これから亡くなるかもしれない」という見通しの目安にはなるかなと思います。
あと、目で見ていて私の中で思うのは、やっぱり痩せがすごいです。亡くなる前って、表情が「こんな表情やったかな」「こんなに痩せてたかな」っていうぐらい細くなります。
私は家族が亡くなる時に気づけてよかったなって思ってるので、決してバカにしてるような話ではないっていうのは、わかっていただけたら嬉しいです。
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